中長期ロードマップと技術戦略プラン
技術戦略プランの目的は、政府の中長期ロードマップにしっかりとした技術的根拠を与えることです。
福島第一原子力発電所の廃炉は、政府の定める大方針である中長期ロードマップに従って推進されています。
技術戦略プラン発行時に最新だったロードマップ(改訂第2版)は、いまだプラント状況も不明確な段階で作成した原子力委員会中長期措置検討専門部会報告書をベースとしており、その後の作業の進展や次第に明らかになってきたプラントの状況、研究開発により新たに明確になった課題等が十分に反映されたものになっていませんでした。
また、改訂を重ねる過程では、リスク面での検討というよりも、課題解決という観点での検討が中心でした。
そこで、①徐々に判明しつつある現場の最新の状況を反映させる、②時間軸に沿ったリスク低減の考え方をより戦略的に深化させる、③技術開発の進捗に対するPDCAの結果をフィードバックする等の観点から、廃炉戦略を再構築することになりました。
廃炉戦略の再構築には、政府、NDF、東京電力、その他関係機関等の間で、廃炉全体の戦略的考え方や技術的な認識を共有することがきわめて大事です。
そのために、現場における実務者を含め関係者の間でプロセスや技術の選定・判断の考え方(技術戦略)を共有することができる、技術的根拠のしっかりした実行可能な技術戦略プランを明示することが必要となりました。
技術戦略プランは、福島第一原子力発電所の廃炉を適正かつ着実に実施する観点から、政府の中長期ロードマップに、しっかりとした技術的根拠を与え、その着実な実行や改定の検討に資することを目的としています。
<参考> 中長期ロードマップの変遷
中長期計画を示すものとしては最初のもので、原子力委員会に設置された東京電力㈱福島第一原子力発電所中長期措置検討専門部会から発表された。
2011年12月21日付 「中長期ロードマップ」 (初版)
政府・東京電力中長期対策会議が、「東京電力㈱福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 当面の取組のロードマップ」ステップ2の目標*1を達成したことを受け決定した。このロードマップは、原子力委員会中長期措置検討部会報告を受け、東京電力、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院(当時)によってまとめられた。
*1 ステップ2の目標: 放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること。
2012年7月30日付 「中長期ロードマップ」 (改訂第1版)
ステップ2完了以降に東京電力が策定した中長期的な信頼性向上のために取り組むべき優先的事項に関する具体的な計画(「信頼性向上計画」)や、それまでの取り組みの進捗状況を反映して策定された。
2013年6月27日付 「中長期ロードマップ」 (改訂第2版)
原子力災害対策本部において、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議が設置。廃炉を加速していくために、政府、東京電力に加えて、関係機関の参加を得て、現場の作業と研究開発の進捗管理を一体的に進めていくこととされ、この会議において策定された。
東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(案)